2022年4月5日火曜日

赤い鳥第3巻第2号

赤い鳥03.02 大正8年(1919)8月
目次

赤い鳥03.02 大正8年(1919)8月

  「赤い鳥」八月号(第三巻第二号)
 王子(表紙、石版) 清水良雄
 川うを(口絵、油絵) 清水良雄
山のあなたを(曲譜) 成田為三
井戸掘り(童謡) (2-3) 北原白秋
大きな星(少年少女劇) (4-13) 鈴木三重吉
鯉(童話) (14-19) 江口渙
一本足の鶴(童話) (20-23) 野上弥生子
きり/゛\す(童謡) (24-25) 西條八十
芥子の花(童話) (26-29) 丹野てい子

 鐘(入選創作童謡) (30-33) 北原白秋選
 白井吉之助 中島春夫
 山崎清重 坂本牙生
 田原三郎 宮崎規矩雄
 村瀬英二 山崎路南
 中山あさひ 元吉利義
 小林季樹 土手清
 蝋山烏述 今西保一
 朝倉芳夫 牛田嫩花
 桐野長吉 坂本静子
 宮下紅柄 神部次郎
 平田内臓吉[目次のみで作品がない]

天の岩戸(歴史童話) (34-39) 鈴木三重吉
 長いお髭(推奨創作童謡) (40) 岩瀬英之助
 たんぽゝ(推奨創作童謡) (41) 川上すみを
山羊の角(童話) (42ー47) 湯目節子
源氏の旗あげ(童話) (48-51) 小島政二郎
銀の御殿(童話) (52-55) 江口千代
ばあやの話(童話) (56-62) 有島生馬
のろまのお医者(童謡) (62-63) 北原白秋

 石どうろう(入選綴方) (64-71) 鈴木三重吉選
 五味重郎 福地幸江
 湯澤稔 林茅里
 直原にさを 山崎和興
 城戸久 久保山正
 岡田操 桑名岬子
 尾崎雄一郎 川手併介
 廣瀬竹治 後藤くまよ
 竹内忠雄 藻谷小一郎
 石井登美子
 
 崖の家(入選自作童謡) (66-69) 北原白秋選
 池田格次郎 仁藤ふじ
 土方学一 松本静子
 黒田大丈夫 木場尚次
 小山幸一 明石常吉
 
 通信、少年少女、地方童謡、社告 (72-80)
 
さし絵、飾り絵 清水良雄 鈴木淳
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それぞれの話の出典・同話・類話・参照
 
凡例:
[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
[参照]:モチーフの一部やプロットの一部、題名が似ているなど。
 
「鈴木三重吉童話全集」の付言にはそれぞれの話の国名が書かれている。それを( )内に表記した。しかし実際の国名と合わないこともある。
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赤い鳥03.02『鯉』p14-19 江口渙(童話)
 
出典: 雨月物語『夢応の鯉魚』上田秋成 
 
夢応の鯉魚 外部リンク
上田秋成集(雨月物語)
永井一孝 校 有朋堂書店 大正15
 
類話:僧興義 外部リンク
ヘルン著(ラフカディオ・ハーン)(小泉八雲)
田部隆次 訳 養徳社 昭和23 
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赤い鳥03.02『一本足の鶴』p20-23 野上彌生子(デカメロンに拠る)

出典:デカメロン06.04『料理人キキビオ』

デカメロン06.04『料理人キキビオ』中p278
ボッカッチョ 柏熊達生訳 ちくま文庫

THE FOURTH STORY Day the Sixth 外部リンク 
CHICHIBIO, COOK TO CURRADO GIANFIGLIAZZI, WITH A READY WORD SPOKEN TO SAVE HIMSELF, TURNETH HIS MASTER'S ANGER INTO LAUGHTER AND ESCAPETH THE PUNISHMENT THREATENED HIM BY THE LATTER
The Decameron of Giovanni Boccaccio
Translated by John Payne 
WALTER J. BLACK, INC.
171 Madison Avenue NEW YORK, N.Y.

Type 785A 一本足のガチョウ
(Hodscha Nasreddin I 229 No.75)

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赤い鳥03.02『芥子の花』p26-29 丹野てい子

類話:キサー、ゴータミー  外部リンク
聖典物語 赤沼智善, 阪井習学 著 無我山房 明41.3

キサー・ゴータミーの話  外部リンク
釈尊と婦人 柏原祐義 著 婦人法話会 大正7
シリーズ名 仏教婦人叢書 ; 第1巻

雑譬喩経下23 外部リンク
T0205_.04.0508b03: (二三)昔有老母唯有一子得病命終。載著塚間
T0205_.04.0508b04: 停尸哀慼不能自勝。念曰。正有一子當以
T0205_.04.0508b05: 備老。而捨我死吾用活爲。遂不復歸便欲併
T0205_.04.0508b06: 命一處。不飯不食已四五日。佛以知見。將
T0205_.04.0508b07: 五百比丘詣塚間。老母遙見佛來。威神之光
T0205_.04.0508b08: 奕奕寤醉醒。前趣佛作禮却住。佛告母。何
T0205_.04.0508b09: 爲塚間耶。白言世尊。唯有一子捨我終亡。
T0205_.04.0508b10: 愛之情切欲共死在一處。佛告老母。欲令子
T0205_.04.0508b11: 活不耶。母喜。實爾世尊。佛言。索好香火來。
T0205_.04.0508b12: 吾當呪願令子更生。重告老母。宜得不死家
T0205_.04.0508b13: 火。於是老母便行索火。見人先問。汝家前
T0205_.04.0508b14: 後頗有死者未。答曰。言先祖以來皆死過去。
T0205_.04.0508b15: 所問之家辭皆如是。*以經數十家不敢取火。
T0205_.04.0508b16: 便還佛所。白言世尊。遍行求火無有不死家。
T0205_.04.0508b17: 是以空還。佛告老母。天地開闢以來。無生
T0205_.04.0508b18: 不終之者。生者求活亦復可憙。母何迷索隨
T0205_.04.0508b19: 子死。意便解寤識無常理。佛因爲廣説法
T0205_.04.0508b20: 要。老母即得須陀洹道。塚間觀者無數千人。
T0205_.04.0508b21: 皆發無上正眞道意

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赤い鳥03.02p42-47童話『山羊の角』湯目節子
金の星04.08p04-09童話『づしんづしんごう』小島政二郎 外部リンク
大正11年(1922)

注:小島政二郎は、大正10年まで赤い鳥の編集をしていましたが、退社した翌年には「金の星」に「ふいの切腹(04.07)」を寄稿しています。「づしんづしんごう」は第二作目の寄稿となります。驚いたことにこの話は「山羊の角」と全く同じ話です。湯目節子は、小島政二郎の別名であったということになります。(2022.6.29)追加

注:この話の書き出しは、「昔、オランダの或村に、娘二人と息子一人とを持つたお婆さんが住んでゐました。・・・」となっているので、オランダの話のようだが、本当にオランダの話かは不明である。

類話:Verlioka  外部リンク
Russian Fairy Tales
From the Skazki of Polevoi By R. Nisbet Bain
Illustrated by C. M. Gere
Third Edition London A. H. Bullen 18 Cecil Court, St. Martin’s Lane, W.C. 1901

Type 210* Verlioka.
バリオカ。恐ろしい怪物のバリオカは、老婆と小さな孫を殺す。年老いた男は、彼を懲らしめるために彼の山小屋へと出かける。老人は、雄ガモ、糸、甲虫、そしてドングリに援助してもらう。彼らはバリオカを殺す。

参考:グリム金田046『コルベスさま』41
Type 210 Cock, Hen, Duck, Pin, and Needle on a Journey.
・雌鶏と雄鶏が旅をする。
(a)雄鶏と雌鶏は、二十日ネズミ4匹に車をひかせてコルベス様のお屋敷に出掛けて行く。(b)途中にネコに会い、ネコも連れて行く。(c)石臼、卵、カモ、留め針、縫い針、と出会い全員車に乗せる。
・コルベスさまをやっつける。
(a)コルベスさまが留守なので、ネズミたちは車を納屋へ引き込み、雌鶏と雄鶏は梁に登り、ネコはストーブの中、カモは水桶の中に隠れ、卵は手拭にくるまり、留め針は椅子にささり、縫い針は枕に刺さり、石臼は戸口の上に寝転ぶ。(b)コルベスさまがかえって来て、ストーブの火をおこそうとして、ネコが顔に灰をぶつけ、灰を洗い落とそうとすると、カモが水を顔へはねかし、手拭でふこうとすると、卵が潰れて目にくつつき、椅子に腰おろすと、留め針が刺し、寝台に横になり枕に頭を乗せると縫い針が刺し、表へ飛び出すと、戸口の石臼が飛び降りて、コルベスさまを叩き殺す。

日本昔話通観522A『柿争い--仇討ち型』
①猿が柿の種を拾い、蟹がにぎり飯を拾うと、猿は種をにぎり飯と交換して食ってしまう。
②蟹が種をまき、はえねば摘み切る、ならねば摘み切る。うれねば摘み切る、とおどしつづけると、柿はみるみる生長してよい実をつける。
③猿が、実を取ってやる、と木に登って一人で食い、青い実を蟹に投げつけて殺すと、死んだ蟹から子蟹が生まれる。
④栗・蜂・牛糞・臼が子蟹を助けて猿の家に仇討ちに出かけ、猿が帰ってくると、いろりに隠れた栗がはじけ、水瓶の蜂が刺し、牛糞が足をすべらせ、臼が落ちてつぶし、子蟹が首をはさみ切る。

注:コルベス様は、「コルベス」の素性について書かれていないので、意味深な話に感じられるのですが、日本の「猿蟹合戦」や「 Verlioka」と同じ仇討ちの話で、その前半部分が欠落していると考えるのが妥当ではないかと思われます。
 

・臼で殺される話の古いタイプ

旧約聖書士師記9.50『アビメレクの過ち』
 アビメレクはまたテベツに対して陣を敷き、これを制圧したが、この町の中に堅固な塔があり、男も女も皆、町の首長たちと共にその中に逃げ込んで立てこもり、塔の屋上に上った。アビメレクはその塔のところまで来て、これを攻撃した。塔の入り口に近づき、火を放とうとしたとき、一人の女がアビメレクの頭を目がけて、挽き臼の上石を放ち、頭蓋骨を砕いた。彼は急いで武器を持つ従者を呼び、「剣を抜いてわたしにとどめを刺せ。女に殺されたと言われないために」と言った。従者は彼を刺し、彼は死んだ。イスラエルの人々はアビメレクが死んだのを見て、それぞれ自分の家へ帰って行った。神は、アビメレクが七十人の兄弟を殺して、父に加えた悪事の報復を果たされた。また神は、シケムの人々の行ったすべての悪事にもそれぞれ報復を果たされた。こうしてシケムの人々は、エルバアルの子ヨタムの呪いをその身に受けることとなった。
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赤い鳥02.04p42-47『源氏の旗あげ』(童話)小島政二郎
赤い鳥02.05p50-55『源氏の旗あげ』(童話)小島政二郎
赤い鳥02.06p24-27『源氏の旗あげ』(童話) 小島政二郎
赤い鳥03.01p28-33『源氏の旗あげ』(童話)小島政二郎
赤い鳥03.02p48-51『源氏の旗あげ』(童話)小島政次郎