赤い鳥04.05 大正9年(1920)5月1日発行 4月5日印刷納本
目次
たんぽゝ(表紙、石版)梟(口絵、水絵) 清水良雄
神后皇功(口絵、黒白画) 水島爾保布 [神功皇后]
大きい兄さん(推奨自由画) 中村高樹
私のをぢさん(推奨自由画) 小田敏
俣野の顔(推奨自由画) 坂口庄司
岡部さんの顔(推奨自由画) 轟浪子
月夜の家(曲譜) 成田為三
風よ吹け吹け(童謡) (2) 北原白秋
猿の手(童話) (4) 鈴木三重吉
おねぼけ叔父さん(童話) (12) 有島生馬
羊(童謡) (18) 西條八十
名人源眤(みなもとノむつる) (20) 久米正雄
ブロオニイ(少年少女劇) (24) 久保田万太郎
春の風(童謡) (32) 柳澤健
神功皇后(歴史童話) (34) 鈴木三重吉
いたづら人形(童話) (42) 佐藤春夫
赤い靴(入選童謡) (42) 北原白秋選
小川のかにさん(推奨童謡) (50) 小田切出海
夕やけ(推奨童謡) (51) 永田金三
紙雛さま(入選童話) (52) 交野なつ子
馬の国(童話) (56) 野上豊一郎
若いコサツク騎兵(童話) (62) 小島政二郎
木の葉の小判(童話) (68) 江口渙
金糸鳥物語(童話) (74) 鈴木三重吉
象と芥子人形(童謡) (78) 西條八十
天狗のお仲間(伝説) (80) 鈴木三重吉選
頭刈り(模範綴方) (82) 鈴木三重吉選
夕やけ(自作童謡) (83) 北原白秋選
綴方の研究、少年 (90) 鈴木三重吉
少女用図書特選 (90) 鈴木三重吉
さし絵飾り絵 清水良雄 深澤省三
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[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
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赤い鳥04.04p04-13童話『猿の手』鈴木三重吉
赤い鳥04.05p04-11童話『猿の手』鈴木三重吉
赤い鳥04.06p04-15童話『猿の手』鈴木三重吉
鈴木三重吉童話全集06.26『猿の手』(イギリス、ウヰリアム・ジェーコップス)
赤い鳥04.05p20-23童話『名人源眤』久米正雄
現代文学読本 巻上 吉沢義則 編 東京修文館 大正13
出典:古今著聞集 第九巻 弓箭 第十三 348・349
348 眤の兵衛尉が鯉を捕る雎鳩を殺さず射た事 外部リンク
349 上六大夫が「とう」を射た事 外部リンク
注:「とう」は、朱鷺・鴇(トキ)のことです。 古今著聞集の話を繋げて一つの物語とするのは、赤い鳥3.3『京都だより』・ 赤い鳥3.4『笛』 と同じ手法なので、小島政二郎による代作の可能性が考えられます。
赤い鳥04.04p14-19少年少女劇『ブロオニイ』久保田万太郎
赤い鳥04.05p24-31少年少女劇『ブロオニイ』久保田万太郎
赤い鳥の本第5冊『ふくろと子供』 外部リンク
赤い鳥04.02p42-47童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.03p58-63童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.04p36-43童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.05p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.06p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.01p52-59童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.02p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.03p46-53童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.05p56-61童話『馬の国』野上豊一郎
赤い鳥04.06p60-63童話『馬の国』野上豊一郎
赤い鳥05.02p62-67童話『馬の国』野上豊一郎
出典:PART
IV. A VOYAGE TO THE COUNTRY OF THE HOUYHNHNMS.
外部リンク
GULLIVER’S TRAVELS into several REMOTE NATIONS OF THE WORLD
BY
JONATHAN SWIFT, D.D.,
赤い鳥04.05p62-67童話『若いコサツク騎兵』小島政二郎
出典:MARBOT AND THE YOUNG COSSACK
外部リンク
The all sorts of stories book
by Mrs. Lang ; edited by Andrew
Lang
注:上記はアンドルー・ラングの編集による本ですが、Fairy Book
シリーズの後に書かれた、ラング夫人の作品です。
鈴木三重吉が訳したラングの本は、Fairy
Book
シリーズで、文字通り妖精物語ですが、この本は、実話などが多く含まれています。この本の翻訳の権利は小島政二郎が持っていたのかもしれません。(権利というのは、公的なものではなく、赤い鳥関連の作家や編集者間の私的な取り決めのようなものを考えています)
赤い鳥04.05p68-72童話『木の葉の小判』江口渙
赤い鳥05.01p82-87童話『木の葉の小判』江口渙
出典:狐に贋て欺き狐の為に死する事
古今雑談思出草紙 東随舍
注:「赤い鳥の本10 木の葉の小判 標題」に、話の出所について次のように書かれています。
「木の葉の小判」も、私が十歳ぐらゐのときに聞いたお話であるが、果たしてどこで誰から聞いたのだつたか、その点をはつきり覚えてゐない。
江口は、「古今雑談思出草紙」を子供の頃、誰かに話してもらったということなのだと思います。話の内容が少し違っているのは、話をした人が変えたのか? 江口の再話の際に変わったのか? 色々な可能性が考えられます。
古今雑談思出草紙 東随舍
慶応義塾大学
外部リンク
注:Google books
の和書によくあるのですが、最後から最初に向かって逆に表示されます。
狐に贋て欺き狐の為に死する事
宝暦末年の頃四ツ谷新宿のほとりに
岩田郷祖軒と言へる老士釼術指南
をして住居せり其術は至れりと
いへども生質(せふしつ)文盲にして高慢強
人愛(ひとあひ)のなき者なれば贔屓薄くして
用やる人少なし門弟も多からず豊
ならて世を送れり或時用事ありて
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本所辺に至り戻れる道柳原の床見世にて狐の尾是有を見て老人
の事なれバ寒気をしのぐ襟巻にハ
畢竟のものなりと買求め袂に入て
筋違橋(すじかいばし)まて来りしが老足労(ろふそくつか)れ
帰家(きか)にものうく幸ひ辻にたれる
駕籠を雇ひて打乗戻れる頃は
早黄昏なり去(さる)にても駕籠の内にて
心よく眠りつゝ立戻るに市ヶ谷
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田町を過牛小屋(うしこや)と言へる辺(へん)にて跡に
駕籠舁(かく)男の先にたてる者に密なる
声にて夫/\見よといふにより
返りて見るやうすにて成程と答へ
て過(すぐ)るをふと目覚て何をかいふやと
郷祖軒考がへ見るに最前途中にて
調へたる狐の尾袂に入置しが袖口
より出(いで)て駕籠の垂より半(なかば)下がれる
を見て狐の化たると恐るゝ体に
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違ひなしと察して頻りに尾を動
かしあるひは引入またハ下げなどする
度に駕籠舁どもつふやきて恐るゝ
体なりしがたまり兼てや駕籠舁
ども言へるは我等遠方の者どもなり
夜に入ては難儀なる間(あいた)何卒是
より下りてたべ賃銭はいか程も思召
次第給われと言ふ郷祖軒聞て
尤なれとも我等住所は先に約束せし
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新宿の脇三光院稲荷のかたはらなり
今少しの道法(みちのり)なり参るべしといふに
尚更気味わるくひたすら是にて
御暇願ひ申なりと歎き詫るにぞ
左程夜に入を厭わば是より歩行
せんと駕籠を下りて後渠等に
向ひて定めの賃銭三百銅なれども
遣わさん事いと易し去ながら其元
達が実儀有心を知れるによりて
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夫よりも能(よき)價を取せんとかねて
駕籠の内にて拵へ置し十二銅の包を
弍ツ取出しつゝ此鳥目纔(わつか)に十弐銭
なりといへども入用の節は一銭のこして
其用にあてなば一夜の内に元のごとく
あへていつまでも絶ず泉の如くなるべし
随分と信心せよ日あらずして富貴と
なし遣わさんと一包つゝ手に渡して
狐めかして口早に述たる時両人ハ大地
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に平伏して有難しと押戴きて
尊敬し参拝なし駕籠振かたげて
足早に立戻りけれ郷祖軒は獨り笑
ひて家路に戻りて家内近隣の
心安き者にも此始終物語り狐と
思ひて恐れしに付込其虚に乗し
両人を偽り欺き廿四銅の賃にて
下料なる駕籠に乗と言ひ神のごとく
尊敬されしは近頃の珍説なりと
外部リンク
笑ひ興したる也しが其翌日よりして
郷祖軒俄に物狂わしくなり大音に
罵りけるやふは其方常/"\仁の心
薄く非義非道なる心から纔の代
を持て妻子をはごくむ世渡り業(わざ)
の有中にかれら程世に貧しく其辛
苦片時も易き事なし心有らん人は
極めの賃銭の外にも酒呑などゝ餘分
の代をも恵みあたへぬべき所に狐なりと
外部リンク
恐るゝ其虚に乗し偽り欺きぬ[る]
心底不仁非道此上なし人間ならぬ
我等さへ此理(り)を辧へ知るに情なき
振舞なり思ひ知れと叫びつゝ狂
ひ廻れるは必定狐の取付たるべしと
祈祷をなせしが露験(つゆしるし)もなうて後に
はうつけたる者となりて唯生たる
と言ふ計りにて年久敷なからへ類
族にも見限られしやのたれ死
外部リンク
に死したりけるとぞ