2022年6月19日日曜日

赤い鳥第4巻第3号

赤い鳥04.03 大正9年(1920)3月1日発行 大正9年7日印刷納本
目次


 「赤い鳥」三月号(第四巻第三号)
うらゝか(表紙) 金の王女(口絵) 清水良雄
 お友達(口絵、推奨自由画) 宮崎正雄
 小山(口絵、推奨自由画) 牧内つね
ねんなのお鳩(曲譜) 成田為三
 鶩の小屋(推奨曲譜) 飯田紅於
わたしの家(童謡) (2) 北原白秋
唖の王子(歴史童話) (4) 鈴木三重吉
お猿の仇討(童話) (14) 江口渙
狐の智慧(童話) (20) 野上豊一郎
指輪の王子(童話) (26) 久保田万太郎
烏の手紙(童話) (30) 西條八十
四人の鬼の話(童話) (33) 水島爾保市
金糸鳥物語(童話) (38) 鈴木三重吉

 手まり(童謡、北原白秋) (38) 安田趙生 紀美代子
 高山蓑水 北原麗二
 児玉善遠 桑名晴葉
 川上すみを 武田雪夫
 中山耕一郎 加田愛咲
 永井巡礼 新井津芳
 三木半丈 萩野管一
 養老碧露 都築益世
 蒼樹柳之助 宮崎博

 ねずみの巣(推奨童謡) (48) 羽室長靖
 山火事(推奨童謡) (49) 桐野信吉
 櫨の木(入選童話) (50) 武久照子
女王様の馬(童話) (54) 茅野蕭々
いたづら人形(童話) (58) 佐藤春夫
桃太郎(童謡) (64) 柳澤健
狐の片耳(童話) (66) 伊藤英子
宮本武蔵と勇少年(童話) (72) 菊池寛
ねんねこうた(童謡) (78) 北原白秋
 馬鹿力(伝説) (80) 鈴木三重吉選
 地方童謡 (82) 北原白秋選
 各地遊戯 (82) 鈴木三重吉選

 銀のお人形(童謡、北原白秋選) (84) 鈴木栄 萩原喜太郎
 近藤治雄 宮崎満房
 神田満藏 山本博子
 矢野国雄 河合富美
 井之上優 山本孝二
 師橋英徳 大岡昇平
 宮下重治

 自由画(山本鼎選) (87) 小杉源晴 池内喜義
 矢島はな 不詳
 
 けいば(綴方、鈴木三重吉選) (86) 伊藤新一 中村長左衛門
 西澤武喜 溝口龍義
 清水篤二 菊池ちう
 吉原繁 城戸久
 下吹越太吉 吹留栄次
 有村岩吉 加藤佐久治
 西村伊一 池上栄
 頼光志津 武尾健藏
 
 通信 (94)
 綴方研究 (96) 鈴木三重吉
装画、さし絵 清水良雄
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それぞれの話の出典・同話・類話・参照
 
凡例:
[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
[参照]:モチーフの一部やプロットの一部、題名が似ているなど。

 
「鈴木三重吉童話全集」の付言にはそれぞれの話の国名が書かれている。それを( )内に表記した。しかし実際の国名と合わないこともある。

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赤い鳥04.03p14-19童話『お猿の仇討』江口渙

出典:
古今犬著聞集9巻23『猿己か子の敵を取事』 外部リンク

類話:
今昔物語29.35『鎮西猿打殺鷲為報恩与恩語』外部リンク

日本昔話通観392『猿とさざえの報恩』

日本の昔話『猿正宗』柳田国男  外部リンク

参考:
木の葉の小判 p3標題 
赤い鳥の本 10 江口渙 赤い鳥社 大正11
「お猿の仇討」は犬著聞集、「蜂と山賊」は今昔物語、「天狗と少女」は三国伝記といふ本から、材料を取つたものである。原話とは多少趣が異つてゐるのはいふまでもない。

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赤い鳥04.03p20-25童話『狐の智慧』野上豊一郎

出典:狂言 釣狐

釣狐  外部リンク
和泉流狂言大成. 第4巻  著者:山脇和泉  出版:わんや江島伊兵衛

注:関栄司氏の「野上豊一郎博士著作目録」には、「ボビノが王様になつた話(1巻5号)」「灰色の小人(2巻2号)」「猫を殺した話(3巻3号)」は載っているのですが、「狐の智慧」と「阿三郎の仇討(6巻4号)」が抜けています。「狐の智慧」は、狂言の「釣狐」を子ども向けに翻案したものですから、野上の能楽関連著作として重要なもののように思われます。
 また、「狐の智慧」は、「赤い鳥事典p203」に載っていますが、狂言の関連については言及されていませんでした。

野上豊一郎博士著作目録  外部リンク
法政大学学術機関リポジトリ 関 栄司
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赤い鳥03.03p11-15『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.04p24-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.05p54-59『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.02p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.03p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
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赤い鳥04.01p04-13長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.02p04-13長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.03p38-47長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.04p28-33長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.05p74-77長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
童話全集03.38『かなりや物語』(フランス)
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赤い鳥04.02p42-47童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.03p58-63童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.04p36-43童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.05p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.06p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.01p52-59童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.02p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.03p46-53童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
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赤い鳥04.03p72-77童話『宮本武蔵と勇少年』菊池寛

宮本武蔵と勇少年  外部リンク
三人兄弟 菊池寛 著 赤い鳥社 大正10

出典:二天一流(宮本武蔵の事蹟)  外部リンク
少年史談. 第1編 池辺藤園 著 文成社 明45.3

注: 池辺の「二天一流」は、宮本武蔵遺蹟顕彰会 編 「宮本武蔵」を基にしているようです。

宮本武蔵  外部リンク
宮本武蔵遺蹟顕彰会 編 (金港堂書籍, 1909)

注:菊池寛の「宮本武蔵と勇少年」は、池辺藤園の「二天一流」を基に、宮本武蔵遺蹟顕彰会「宮本武蔵」も参照して書かれたように思われます。

参考:
二天記 著者:豊田景英  外部リンク

二天記 (翻刻)  外部リンク
肥後文献叢書. 第2巻 武藤厳男 等編 隆文館 明42-43


2022年6月14日火曜日

赤い鳥第4巻第2号

赤い鳥04.02 大正9年(1920)2月1日発行 大正9年(1920)1月3日印刷納本
目次

  「赤い鳥」二月号(第四巻第二号)
 雪すべり(表紙、石版) 清水良雄
 かなりや(口絵、水絵) 清水良雄
 自由画(口絵、写真) 山本鼎選
山の母(曲譜) 山田耕筰
かやの実(童謡) (2) 北原白秋
金糸鳥物語(童話) (4) 鈴木三重吉
海賊船(童話) (14) 小島政二郎
夕暮(童謡) (18) 柳澤健
星の子(童話) (20) 本間久雄
指輪の王子(童話) (26) 久保田万太郎
小さな摩以亜(童話) (30) 鈴木三重吉

 小豆の兵隊(入選童謡) (30) 北原白秋選
 武田雪夫 堀井増次郎
 岡澤昭子 川田吉衛
 中山次二 竹村かづを
 池田格次郎 納谷三千男
 黒津敏行 牛田嫩花
 近藤九葉 千葉青花
 五味梨雪
 
 奈々ちやん(入選童話) (38) 藤浪音よ
 子供を叱つた家(推奨童謡) (40) 桑名晴葉
 耳のかけつこ(推奨童謡) (41) 野村清三
いたづら人形の冒険(童話) (42) 佐藤春夫
女王様の馬(童話) (48) 茅野蕭々
春の日(童謡) (52) 西條八十
あひる(童話) (54) 久米正雄
赤い盾、黒い縦(歴史童話) (60) 鈴木三重吉
お靴の中に(童謡) (64) 北原白秋

 鼠の芸当(模範綴方) (66) 鈴木三重吉選
 赤羽満雄 堀喬子
 的場義一 倉橋すゞ子
 近藤治雄 鈴木きよ
 福田源一郎 森田朝子
 古川綾子 小野吉太郎
 向井羊吉 山口薫
 佐々木きみ
 
 子供の汽車(少年入選童謡) (68) 北原白秋選
 友野代三 早川午佐久
 永田金三 渡邊四郎
 兼谷愛 円城寺幸世
 狩野政治郎 原田勝
 岩佐東一郎
 
 地方童謡、遊戯、綴方研究 (74)
さし絵、飾り絵 清水良雄
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それぞれの話の出典・同話・類話・参照
 
凡例:
[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
[参照]:モチーフの一部やプロットの一部、題名が似ているなど。
 
「鈴木三重吉童話全集」の付言にはそれぞれの話の国名が書かれている。それを( )内に表記した。しかし実際の国名と合わないこともある。
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赤い鳥04.01p04-13長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.02p04-13長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.03p38-47長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.04p28-33長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.05p74-77長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
童話全集03.38『かなりや物語』(フランス)

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赤い鳥04.02p14-17童話『海賊船』小島政二郎

出典:古今著聞集 巻第十二 偸盜 第十九
435 正上座といふ弓の上手 外部リンク
橘成季 著[他] 有朋堂書店 大正11
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赤い鳥03.06p18-21童話『星の子』本間久雄
赤い鳥04.02p20-25童話『星の子』本間久雄

出典:The Star-Child 外部リンク
A HOUSE OF POMEGRANATES BY OSCAR WILDE.

参考文献:赤い鳥事典p293『オスカー・ワイルドと"The Star-Child"』『「星の子供」から「星の子」へ』
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赤い鳥03.03p11-15『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.04p24-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.05p54-59『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.02p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.03p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
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赤い鳥03.05p26-35童話『摩以亜物語』鈴木三重吉
赤い鳥03.06p28-35童話『摩以亜物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.02p30-37童話『小さな摩以亜』鈴木三重吉
鈴木三重吉童話全集02.40『マイアの冒険』(デンマーク、アンデルセン作)
アンデルセン童話集『マイアの冒険』 外部リンク
鈴木三重吉 訳   清水良雄 絵   アルス  昭和2(1927)

注:この話はアンデルセンの「Thumbelina」の翻訳ではなく、アンドルー・ラングの「THE STRANGE ADVENTURES OF LITTLE MAIA」の翻訳である。
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赤い鳥04.02p42-47童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.03p58-63童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.04p36-43童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.05p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥04.06p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.01p52-59童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.02p42-49童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫
赤い鳥05.03p46-53童話『いたづら人形の冒険』佐藤春夫

出典:PINOCCHIO 外部リンク
Carlo Collodi
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赤い鳥04.02p54-59童話『あひる』久米正雄
鈴木三重吉童話全集01.17『あひるの王子』(フランス)

注:「あひる」は赤い鳥では、久米正雄の翻訳になっていますが、鈴木三重吉童話全集には、三重吉の作品として掲載されています。

出典: DRAKESTAIL (Contes of Ch. Marelles. )  外部リンク
The Red Fairy Book Edited by Andrew Lang

Bout-d’-Canard 外部リンク
Affenschwanz et Cetera
by Charles Marelle 1888

Type715 (Demi-coq 半分のオンドリ) 半分のオンドリは、ウマ、雄ウシ、etc.とともに置かれる。動物たちは、半分のひよこを助ける(クマ、オオカミ、etc)に食われる。

スペイン民話集73『半分ひよこ』
フランス民話集37『小さな雄鶏』

類話:THE HALF-CHICK  外部リンク
THE GREEN FAIRY BOOK By Various Edited by Andrew Lang

注:ラングのThe Red Fairy Book の中から、長編は「THE ENCHANTED CANARY(金糸鳥物語)」。短編は「DRAKESTAIL(あひる)」が翻訳されています。これは、ラングのThe Olive Fairy Book の中から、長編は「THE STRANGE ADVENTURES OF LITTLE MAIA(摩以亜物語)」。短編は「DIAMOND CUT DIAMOND(泥棒)」が翻訳されているのとパターンが同じです。 よって、「あひる」が三重吉の翻訳とするならば、「泥棒」も三重吉の翻訳の可能性が考えられます。

2022年6月10日金曜日

赤い鳥第4巻第1号

赤い鳥04.01 大正9年(1920)1月1日発行 大正8年(1919)12月3日印刷納本
目次

「赤い鳥」一月号(第四巻第一号)
 花つなぎ(表紙、石版) 清水良雄
 七姫(口絵、油絵) 清水良雄
 自由画(口絵、写真) 山本鼎 選
芒(曲譜) 成田為三
 団栗(推奨曲譜) 加藤照顕
雪のふる夜 (二) 北原白秋
金糸鳥物語(童話) (四) 鈴木三重吉
鈴子さんのお母様 (一四) 有島生馬
玩具の舟(童謡) (二二) 西條八十
コケコツコー(童話) (二四) 島崎藤村
毒の大熊(歴史童話) (二八) 鈴木三重吉

 新兵さん(入選童謡) (二八) 北原白秋 選
 松中三郎 野村清三
 豊永次郎 半田嫩花
 川上すみを 冬木玉太郎
 佐野与 佐々木博
 植田その子 納谷三千男
 伊谷しろ人 前田考受
 近藤東  田澤新
 徳安一郎 井上はじめ
 綾小路草夫 小野朗子
 近藤九葉 児島善遠
 八木しげき
 
 小鳥の酒場(推奨童謡) (三八) 桑名晴葉
酔つぱらひ星(童話) (四〇) 小川未明
女王様の馬(童話) (四六) 茅野蕭々
冬(童謡) (五○) 柳澤健
魔術(童話) (五二) 芥川龍之介
緑のお家(童謡) (六二) 北原白秋
 暴れ馬(模範綴方) (六四) 鈴木三重吉選
 川手よね 帆足信子
 平井功 伊藤文子
 田中喜一 浅井雪子
 都築鎗太郎 木俣修二
 大塚いきの 横江継子
 渡邊岩子 大西のし

 三つの星(入選童謡) (六六) 北原白秋選
 上林義郎 川手よね
 吉野雪江 金田平八
 岡義忠 岩佐東一郎
 星野義任 根岸発四蔵
 阿出川進次郎
 
 河童の謡(地方伝説) (七二) 鈴木三重吉 <河童の謡><人年貢>
  通信、地方童謡、各地遊戯 (七四)
 さし絵、飾り絵 清水良雄
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それぞれの話の出典・同話・類話・参照
 
凡例:
[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
[参照]:モチーフの一部やプロットの一部、題名が似ているなど。

 
「鈴木三重吉童話全集」の付言にはそれぞれの話の国名が書かれている。それを( )内に表記した。しかし実際の国名と合わないこともある。

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赤い鳥04.01p04-13長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.02p04-13長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.03p38-47長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.04p28-33長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.05p74-77長編童話『金糸鳥物語』鈴木三重吉
童話全集03.38『かなりや物語』(フランス)

出典:THE ENCHANTED CANARY  外部リンク
(Charles Deulin, Contes du Roi Gambrinus. )
The Red Fairy Book Edited by Andrew Lang
注:Gambrinus [Cambrinus]の誤り

DÉSIRÉ D AMOUR  外部リンク
Contes du roi Cambrinus
Charles Deulin · 1874

類話:Type 408 三つのオレンジ。オレンジのお姫さまの探求。間違いの花嫁。

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赤い鳥04.01p72地方伝説その五08『河童の謡』浅香邦水

河童の謡(地方伝説その五)
  鈴木三重吉選
(八)河童の謡 昔上野(かうづけ)の或村の名主に兵庫といふ大層馬の上手な人がをりました。当時江戸表に競馬会があつた時、馬の尾へ一疋の絹をくゝりつけて走つて、名誉の一等賞を取つた程の名人でした。この人が或時村から遠乗りに出かけた帰りに、村のそばの或森蔭の川のところまで来ましたが、生憎そこいらには橋がないものですから、兵庫は馬諸共に、青い深い水の中へドブンと飛び込んで、ざぶざぶと川の中程まで乗切つてまゐりました。
 すると不意に何ものかゞひよこりと馬の尾へ取ツつかまりました。馬は驚いて水の中へ棒立ちになりました。兵庫は危(あやふ)く振り落されるところをやつと踏みこたへて、岸へ乗り上げた上、よく見ますと、馬の尾に大きな河童の奴が取つ付いてゐるのです。大抵のものならびつくりして度を失ふところですが、さすがに兵庫はびくともしないで、それなりぴゆうと馬を飛ばして帰りました。
 河童の奴は、もと/\たゞ悪戯に馬の尾にぶら下つて見たのですが、乗り手がどツと走り出したので、とう/\手を離す閑がなくてそれなりぴゆう/\引きづられて行き、とうとう兵庫の家(うち)の庭まで来て、泥まぶれのまゝばたりとぶつ倒れてしまひました。兵庫は家の人たちを呼んで、手早くその河童を縛り上げてしまひました。河童は水の中でこそ大威張りで人の腸(はらわた)をぬき取つたりしましたが、かうなつてはどうすることも出来ません。丁度野良がへりの村人は、これを聞くとわい/\見物に来て、兵庫の家の庭は黒山のやうに人が集(たか)りました。皆(みんな)はこれを聞くと「何だこの河童奴(め)。おらたちが名主さアのお乗り馬い喰つ付きやがつて畜生、勘弁なんねえ」と結局撲ち殺してしまふことにきめました。
 河童は青くなつて「どうも悪いことをいたしまして、申わけもございません。これからは決して悪戯は致しませんから、どうぞ命だけはお助け下さいまし。その代りお礼としてお魚を取つてまゐりますから」と兵庫に向つてさん/"\あやまりましたので名主も可哀さうになつて許してやりました。翌(あく)る朝になつて見ますと、その辺で半切と言つてゐる低い樽の中へ、川魚(かはうを)がたつた一匹入れてありました。それからは兵庫が馬に乗つて例の川のほとりを通りますと、きつと青く澄んだ川の中から河童が変な声でこんな謡を謡ひました。
 「いぢり焼きの兵庫殿、
  せゝり焼きの兵庫殿、
  私(わし)を助けたその功(かひ)にや、
  大作小作は皆実る、
  お家(いへ)は重代御大尽、
  お村はいつまで豊作ぢや、
  いぢり焼きの兵庫殿、
  せゝり焼きの兵庫殿。」と
 これは上州多野郡上野村の伝説です。その辺では生の玉蜀黍を恩灰(ぬくはひ)の上に転がして焼いて食べますが、今までも村の人はその玉蜀黍を焼くときにこの謡を謡ひます。名主の兵庫といふのは、実は私の祖父の祖父でした。(東京府下、王子田端九、浅香邦水報)
 
類話:
赤い鳥復刊03.06p36-43伝説『河童』堀歌子

日本昔話通観378『河童の魚』
①子供姿の河童が馬を淵へ引きこもうとするが、逆に馬は河童を引きずって帰る。
②河童は主人に詫び、証文を書いて許され、毎朝木の鉤に魚をかけて届ける。
③妻が欲を出して鉤を鉄製に変えると、魚は届けられなくなる。

Type47C=K1022.2
牛の角に繋がれた狼。

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赤い鳥04.01p72-73地方伝説その五09『人年貢』岩本賢雄

(九)人年貢 私(わたくし)どもの村の人里はなれた山河(やまかは)といふところに氏神様があります。いつのことですか、づつとの大昔には、この氏神様に年に一度づつ若い娘を人年貢に上げるのが極りになつてゐたさうです。ある年、村の作之助といふものゝ家(うち)へ、その順番があたりました。愈その日になりましと、作之助夫婦は娘を真中にすゑて、朝からおい/\泣き続けてをりました。その内に時刻が来ますと村の頭の人のところから、人年貢を入れ木箱が来ました。双親(ふたおや)は、泣き/\その中へ娘を入れて、氏神様へ担いで行かうとしますと、ふと一人の山伏がそこを通りかゝりました。山伏はそれをお葬(とむら)ひだと思つて見てゐましたが、よく聞いて見ると娘を人年貢につれて行くのだといふので、驚いて「世の中にそんな馬鹿げた話があるものか。氏神さまともあるものが氏子を取つて食ふといふ法がどこにあらう。くつと相手は魔物にちがひない。おれが見極めてくるから任しておけ。ともかく、その箱は中の人が出られないやうに堅く蓋をうちつけておいてくれ」と言ひました。作之助夫婦は大喜びで、すぐに釘を打ちつけて、その儘氏神さまのお社へおいて来ました。山伏は社の天井に隠れて待つてをりました。すると真夜中になりますと、どこからともなく一匹の化物が現れて「このことばかりは赤岩の、金太郎小僧にや内々々。このことばかりは赤岩の、金太郎小僧にや内々々」と謡ひながら出て来ました。そして恐しい目を光らせて、木箱の蓋を取らうとしますと、中々開かないものですから、うウ/\怒りながらその箱のまはりを駈け廻つてをりました。その内に、白々と夜が明けかけたので、化物はとうとうこそ/\と遁げ出しました。
 山伏は化物が謡つた歌を考へて「金太郎には内々々だ」といふからには、その金太郎といふ人を余程恐れてゐるらしい。だからその人に退治させれば一番世話がないと思ひまして、夫婦にその話をしました。赤岩といふのは私(わたくし)どもの村と千曲川を一筋隔てた、高社山麓(かうしやさんろく)にある村です。山伏はその村へ出かけて金太郎といふ人を探しましたが、だれも一向知らないと言ひました。すると最後に或茶店のものが、それはそこに寝てゐる犬のことでせう、それ、その犬が金太郎といふのだと教へてくれました。山伏は成程と早速その犬をつれ帰つて、例の木箱の中へ娘の代りにその犬を入れて社へ持ち込みました。化物は真夜中になると「このことばかりは赤岩の」謡ひながら、のこ/\出て来ました。そして箱の蓋を開けますと、金太郎はわツと飛び出して、勢鋭く喰つてかゝり、その化物と一しよにころ/\転り転つて噛み合ひました。その内にそのはげしい物音も静まつて段々と夜が明けましたので山伏は天井から下りて見ますと、犬はその場に倒れて苦しさうに息をしてゐましたが間もなくそれなり死んでしまひました。あたりを見ると生臭い血がぽと/\落ちてゐます。その血をどこまでもたどつて行くと山河の谷間へ来ました。見るとそこには大きな大狸が血塗れになつて倒れてをりました。山伏はその狸にとゞめを刺して帰つて来たといふことです。今この氏神は、里宮の方が賑やかで、もとのお社には、石の塔がさびしく立つてゐるばかりです。(長野県下水内郡秋津村 岩本賢雄報)

類話:
日本昔話名彙p94厄難克服『猿神退治』 外部リンク
日本昔話通観275A『猿神退治--犬援助型』
捜神記巻19.440『大蛇を退治した娘』

今昔物語26.07『美作国神依猟師謀止生贄語』 外部リンク
今昔物語26.08『飛騨国猿神止生贄語』 外部リンク
今昔物語10.33『立生贄国王止此平国語』外部リンク
史記 巻126 滑稽列伝
蒙求 巻下 西門投巫


2022年5月19日木曜日

赤い鳥第3巻第6号

赤い鳥03.06 大正8年(1919)12月1日発行 11月三日印刷納本
目次

赤い鳥03.06 大正8年(1919)12月1日発行

  「赤い鳥」十二月号(第三巻第六号)
 紅茶(表紙、石版) 清水良雄
 ばら(口絵、油絵) 清水良雄
舌切雀(曲譜) 成田為三
 お人形焼く家(推奨曲譜) 内田かすみ
鶩の小屋(童謡) (2-3) 北原白秋
笠沙の宮(歴史童話) (4-17) 鈴木三重吉
星の子(童話) (18-21) 本間久雄
床屋の小僧(童謡) (22-23) 西條八十
四人の坊さん(童謡) (24-27) 片山廣子
摩以亜物語(童謡) (28-35) 鈴木三重吉

 からすの巣(入選創作童謡) (28-35) 北原白秋選
 中里新 棟分寅雄
 竹村かづを 浦松佐美太郎
 高鍬重朝 清谷あけし
 川上すみを 山崎路南
 加田愛咲 永井青果
 菊池一三 日高紅鳥
 桐野晨吉 室町馨
 名加邑碧宇 大住戒三
 
 土蜂(推奨創作童謡) (36) 水島柳二郎
 豚(推奨創作童謡) (37) 野村清三
兄弟の百姓(童話) (38-41) 野上彌生子
禿のワリイ(童話) (42-47) 小山内薫
嬰児(童謡) (48-49) 柳澤健
パシヤラ王(童話) (50-57) 小島政二郎
落ちた雷(童話) (58-61) 菊池寛
雉子の尾(童謡) (62) 北原白秋
大寒小寒(童謡) (62-63) 北原白秋

 雀の卵(模範綴方) (64-71) 鈴木三重吉選
 五味重郎 石井登美子
 山上翠里 古河繁子
 都築鎗太郎 加納四十一
 岡澤留雄 浅野まき
 古市秀章 倉橋すゞ
 林淑子 貞本清子
 米村不二男 比留間喬介
 
 桐の木(入選自作童謡) (66-69) 北原白秋選
 高實庸哉 小原猛
 繁澤恒義 佐々木守信
 鳥居美代子 友枝宗達
 若林光弘 田中まさ子
 志水潔治
 
 通信、地方童話、綴方の研究、地方童謡、遊戯、社告 (72-80)
さし絵、飾り絵 清水良雄 鈴木淳
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それぞれの話の出典・同話・類話・参照
 
凡例:
[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
[参照]:モチーフの一部やプロットの一部、題名が似ているなど。

 
「鈴木三重吉童話全集」の付言にはそれぞれの話の国名が書かれている。それを( )内に表記した。しかし実際の国名と合わないこともある。

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赤い鳥03.06p24-27童話『四人の坊さん』片山廣子

出典:  西遊記 第八十四回 

難滅(なんめつし)て伽持大覚を円(まどかに)す  外部リンク 
法王正を成て天然に体す
絵本西遊記全伝 口木山人, 岳亭丘山 訳 法木書屋 明16.4

西遊記 滅法国 外部リンク
島孤島 訳  富山房 昭和24

モチーフ1
千人の首を取ろうとし、千人目で失敗して改心する。(西遊記の話は1万人)
曽我物語95 斑足王 外部リンク
今昔物語01.16『鴦堀魔羅、仏の指を切れる語』 外部リンク

モチーフ2
K415. 目印をつけられた者は同じ印を別な所にたくさんつける。
Type950 III.(a)
賢い息子。王様は姫と寝た男に黒い印をつけさせる。若者は全ての騎士と王様本人にも印をつける。

デカメロン03.02
王アジルルフの一人の馬丁が、妃と寝る。それをひそかにアジルルフが知り、その馬丁を見つけだし、髪の毛をきる。髪をきられた馬丁は他の馬丁全部の髪をきる。そしてその不幸をのがれる
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赤い鳥03.04p50-55童話『禿のワリイ』小山内薫
赤い鳥03.05p18-23童話『禿のワリイ』小山内薫
赤い鳥03.06p42-47童話『禿のワリイ』小山内薫
鈴木三重吉童話全集02.20『正直ぢいさん』(インド)
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赤い鳥03.05p26-35童話『摩以亜物語』鈴木三重吉
赤い鳥03.06p28-35童話『摩以亜物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.02p30-37童話『小さな摩以亜』鈴木三重吉
鈴木三重吉童話全集02.40『マイアの冒険』(デンマーク、アンデルセン作)
アンデルセン童話集『マイアの冒険』 外部リンク
鈴木三重吉 訳   清水良雄 絵   アルス  昭和2(1927)

注:この話はアンデルセンの「Thumbelina」の翻訳ではなく、アンドルー・ラングの「THE STRANGE ADVENTURES OF LITTLE MAIA」の翻訳である。

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赤い鳥03.06p50-57童話『般沙羅王(パシヤラワウ)』小島政二郎

出典:
今昔物語05.06
般沙羅王の五百の卵、初めて父母を知る語   外部リンク
攷証今昔物語集  芳賀矢一 編
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赤い鳥03.06p72-73通信・地方童話その四06『一切れの縄』納谷三千男
地方童話(その四)
        鈴木三重吉選
(六)一切れの縄 或ところに三人の兄弟がありました。もと/\家が大変貧乏だつたところへ、不意にお父さんに死なれて、誰も頼る人がありませんでしたので、三人はわづかなお金を分けて、運を開きに出て行きました。すると村から一里ばかりも来たと思ふ頃、道端に一尺ばかりの縄切れが落ちてゐました。一番上の兄は、そんなものには振り向きもしないで通つて行きました。その次の兄は、その縄切れを足の先でポイと蹴つて行きました。然し末の弟は、それを拾つて泥をはらつて、手に持つて行きました。
 しばらく行くと、一人の男に会ひました。その男は、あたりをきよろ/\見廻しながら「ちよつとした切れはしでもよいから縄があればよいがなあ」と独り言を言つてゐました。末の弟は、すぐに走つて行つて「縄でもよいなら上げませう。」と言ひました。その男は大変に喜んで自分の持つてゐた一束の大きな蓮の葉の中の一枚をお礼にくれました。その男はその蓮の葉を結ぶ縄が欲しかつたのでした。末の弟は大きな葉つぱを、大切さうに抱へて歩きました。二人の兄は、それを見て、「何だ、そんなものを、捨てろ/\、」と言ひました。併し弟はたゞにこ/\笑ひながら、捨てないで持つて行きました。それから又一里も来ますと、また一人の人に会ひました。その人は手に大きな泥のやうな塊を持つて、何か包むものがほしいと、しきりにそこいらを探してをりました。末の弟は、早速さつきの葉をくれてやりますと、その人は大変に喜んで、何遍もお礼を言ひました。そしてその泥のやうなものを半分くれて言ふには、「これは、刀を研ぐ時に、一ばん必要なものですが、どこにも、なか/\一寸ありません。今日ひよいと見付けたのです。あなたが偉くなつて、刀でもさすやうになつたら、これをお使ひなさい」と言ひました。
 末の弟は、これはよいものを貰つたと、大層喜んで、その泥を大切に持つて歩きました。二人の兄は、それを見て、「何だ、またつまらぬものを貰つたな。そんな泥なんか、どこにだつてあるぢやないか、捨てつちまへ、馬鹿馬鹿しい。」と言ひました、弟は、たゞニヤ/\笑ひながら、そのまゝ大事に持つて行きました。それからまた一里ばかりも行つた頃に、小さな村がありました。その村には、刀研ぎの家がありました。その刀研ぎが、「あゝあ、あの泥が欲しいな、あれさへありや、この刀は、もつと/\切れるやうになるんだがなあ」と独り言を言つてをりました。末の弟は、それを聞くと、すぐさつきの泥を惜し気もなくくれてやりました。すると、その人は、躍り上るほど喜んで、早速それで刀を研いで、その刀をお礼のしるしにくれました。末の弟はにこ/\と大喜びで、二人の兄に見せました。二人は今度は大層羨みました。
 その晩、三人は大きな沼のほとりの松の木の下で野宿をしました。みんなひどく疲れてゐたので、すぐにぐつすりと寝入つてしまひました。真夜中になつて、末の弟は、ふと目を開いて見ますと、どうでせう、鏡のやうな大きな目をした大蛇が、自分の貰つたあの刀と大喧嘩をしてゐるではありませんか。弟は、びつくりして、目をぱちくりさせて見てをりました。
 刀はどん/\蛇に斬りかゝつて、その大蛇をとう/\ずた/\に切り殺してしまひました。弟は、そのあとで刀に、さん/"\お礼を言ひました。若し、この刀がなかつたなら、三人はみんなあの蛇に殺されてしまふところだつたのです。そのうちに夜も明けました。村の者は、大蛇が殺されたことを聞き知つて、わい/\集つて来ました。そしてみんなで、末の弟の強いことをほめ立てました。そして、この三人の人に、長くこの村にゐて貰はうではないかと相談しました。三人は大変にいゝ都合なので、早速承知して、その村の人になつて、みんなのために働きました。そして三人共大変お金持になりました。
 これは、私がまだ小さなときに、母の膝元で、よく聞いたお話です。母の故郷の昔話だらうと思ひます。(北海道函館区船見町七三、納谷三千男)

注:「地方童話」は3巻4号の「地方伝説」から引き継いでいます。

類話: 
日本昔話通観96『藁しべ長者』
1.みなし子が親の形見の藁しべを持って旅立ち、藁しべを味噌作りに与えるとお礼に味噌をくれる。
2.つぎに鍛冶屋に味噌を与えると、お礼に小刀をくれる。
3.みなし子は海岸で眠ってふかに襲われるが、小刀がふかを殺してくれる。
4.それを見た船主の求めで小刀を与えると、お礼に積み荷の米俵をみなくれる。

日本昔話名彙p73財宝発見『藁しべ長者』 外部リンク
柳田国男 日本放送協会

一本の藁 外部リンク
日本童話宝玉集 下巻 楠山正雄 富山房 大正10-11

日本昔話通観290『忠義な刀』
1.大蛇が昼寝中の商人を飲もうとすると、商人の道中差しがひとりでに鞘から抜け出して大蛇を追いはらう。
2.長者がこっそり商人の刀と自分の刀をすり替えると、商人は帰路も昼寝をして大蛇に飲まれる。
3.商人の娘が大蛇を射るが矢が通らず、矢尻につばをつけて射殺すことができる。

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赤い鳥03.06p73通信・地方童話その四07『小淵の鬼』松銀座
地方童話(その四)
   鈴木三重吉選
(七)小淵の鬼 小淵沢の小淵は、ずつと昔は湖のやうに大きかつたと申します。その頃のこと、或日一人の子供が馬を引いてその淵へ魚釣りに出かけました。そして鯉や鰻をどつさり釣つて、それを籠に入れて馬につけて、大得意で帰つて行きました。
 さうすると向うから同じ淵の近所の森に住んでゐる鬼が鼻をクン/\させながら出て来まして、いきなり、
「小僧/\その魚をよこせ。」と呶鳴りました[。]子供は仕方なしに馬から籠を下ろして、そのまゝすつかりくれてやりました。
 鬼は瞬く間にその魚をペロ/\と食べてしまひました。そして今度は、
「小僧/\その馬もよこせ。」と言ひました。小僧は鬼の奴があんまり慾ばつてゐるので心の中でムツとしましたが、
「でも仕方がない。その代りあとでどうするか見ろ。」と思ひながら、すぐに馬の手綱を鬼の手に渡して一目散に逃げて来ました。しばらくして振りかへつて見ますと、鬼はもう馬をムシヤ/\食べてゐました。子供は大急ぎで近くの森の中へかけて行きました。そこには鬼のお家がありました。
 子供はその真つ黒にくすぶつたお家へ這入りこむと、
「あゝおなかゞすいた。」と言ひながらいきなり戸棚を開けて見ますと丁度牡丹餅が一と重あつたので早速食べてしまひました。そして空になつた重箱の中へ、きたないものを押し込んで蓋をして、そつともとの処にしまふと今度は厨子(当地方の農家で家の一端を仕切つて作つた厩の二階をいふ。普通乾草、藁、落松葉などを積んで置くところ)へ上つて、隠れてゐました。
 さうするとしばらく立つてさつきの鬼がにこ/\した顔をして帰つて来ました。見てゐると鬼は戸棚の戸を開けて、重箱の蓋を取りました。そしてびつくりして首をかしげてをりましたが、やがて、
「ふゝん、分つた。牡丹餅の奴めはおれに食はれるまで待ち切れなかつたと見える。それぢや湯でも沸かして飲んで昼寝をせうかな。」と言ひながら厨子の方へ下りて行きました。
 隠れてゐた子供は、そのとき上からポタンと落松葉を一把落してやりました。鬼は、
 「おらが鼠は福鼠、いま一把。」
 と謡ひました。そこで子供はすぐにもう一把落してやりました。鬼は、
「さあ、これでよし。」と、その二把の束を抱へて行つて、囲炉裏へ火を焚き付けました。すると松葉の白い煙は忽ち家中へ一杯にひろがりました。子供はむせつたいのを我慢してぢつとしてゐますと、その内に茶釜の湯がチン/\とたぎり出しました。
 鬼は松葉の灰が雪のやうに降る中で、ゆつくり/\、音をたてゝ湯を飲んでをりますとひとりでにだん/\と眠くなつて来て、しまひには、もう立てないくらゐになりました。そこで這ひ/\をして、やつと寝床まで行きました。その鬼の寝床は石の棺と同じやうにこしらへた石の寝床で、中へ這つてから石の蓋をするやうに出来てをりました。鬼はその中へ這入うて、寝込んでしまひました。
 子供はそれを見済ますと、のそ/\厨[子]から下りて来て、そこいらから大きな錐を探し出して、それで持つて鬼の寝床の石の蓋へ孔をあけ出しました。するとそのぎし/\する音が、夢うつゝの中で鬼の耳に聞えたものと見えます。鬼は、
 「夏は日がよいさうで、
  キリ/\虫が鳴くわいな。」
と、さも心持よささうに謡ひ出しました。子供はそのうちに蓋へ孔をあけてそこから煮湯をどん/\つぎ込みましたので、鬼はあつい/\と言ひながら、それなりたゞれ死にゝ死んでしまひました。(山梨県小淵沢、松銀座)

注:厨子(つし) 厨子二階

厨子の方へ下りて行きました。厨子は二階のことなので、意味が通じない。「厨子の方へ上つて行きました。」の誤りか?

類話:
山姥と馬子  外部リンク
日本童話宝玉集.  下巻
楠山正雄 編 富山房 大正10-11
 
日本昔話名彙p103『牛方山姥』 外部リンク
柳田国男

日本昔話大成243『牛方山姥』
日本昔話通観352『馬子と山姥』

Uncle Remus by Joel Chandler Harris
ウサギどんキツネどん13『オオカミがたいへんなめにあう話』
・ウサギは藁で家を作ると、オオカミに家を壊されて子供を取られる。松ぼっくりでも同じこと。木の皮で作るがやはりやられる。ウサギは大工を呼んで、石の土台の上に板の家を建てる。
・オオカミがイヌに追われて、ウサギの家へと助けを求める。ウサギはオオカミを長持ちの中に隠し掛け金をかける。ウサギは長持ちに錐で穴を開け、その中にお湯を注ぐ。オオカミは「これは何だ?」尋ねると、ウサギは「ノミが食いついているのだ」と答える。オオカミは「ノミに食い殺される」と言って死ぬ。

2022年4月22日金曜日

赤い鳥第3巻第5号

赤い鳥03.05 大正8年(1919)11月
目次

赤い鳥03.05 大正8年(1919)11月


  「赤い鳥」十一月号(第三巻第五号)
 栗鼠(表紙、石版) 清水良雄
 摩以亜(口絵、水彩画) 清水義雄
あしのうら(曲譜) 成田為三
忘れた蓑(曲譜) 近衛秀麿
 とんねる(推奨曲譜) 渡邊健治郎
月夜の家(童謡) (2-3) 北原白秋
雉のお使(歴史童話) (4-13) 鈴木三重吉
爺やの話(童話) (14-17) 有島生馬
禿のワリイ(童話) (18-23) 小山内薫
山の母(童謡) (24-25) 西條八十
摩以亜物語(童話) (26-35) 鈴木三重吉

 水鶏(入選創作童謡) (26-35) 北原白秋選
 岸本爽 水島柳二郎
 納谷三千男 徳安一郎
 畑野耕人 萩野管一
 川上すみを 渡邊健治郎
 八島富士 埃里
 半田嫩花 渡邊知信
 水澤美雄 四元尚孝
 武田幸夫 岩瀬英之助
 平田一道 白井吉之助
 久保一雄
 
 ひまはり(推奨創作童謡) (26) 大岡洋吉
 夕方(推奨創作童謡) (27) 島田春雄
三人の泥棒(童話) (38-41) 水島爾保布
お月様の唄(童話) (42-47) 豊島与志雄
人形(童謡) (48-49) 柳澤健
慾の皮(童話) (50-53) 樋口やす子
指輪の王子(童話) (54-59) 久保田万太郎
ちんころ兵隊(童謡) (60-61) 北原白秋

 かたばみの実(模範綴方) (62-71) 鈴木三重吉選
 澤田傳次郎 関井ひで
 牧瀬晴 湯澤菊枝
 岩間君代 中込みさほ
 福原鐵夫 清水頼子
 中村熊次 林節子
 無名実 高橋とき
 林幸四郎 宮地はつ
 加藤房子

 駱駝(入選自作童謡) (65-68) 北原白秋選
 山崎和利 河野巌
 前田八重尾 野田滋子
 山口隆一 鈴木幸四郎
 藤井和哉 大岡昇平

 通信、地方童話、綴方の研究、地方童謡、社告 (70-80)
さし絵、飾り絵 清水良雄
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赤い鳥03.04p50-55童話『禿のワリイ』小山内薫
赤い鳥03.05p18-23童話『禿のワリイ』小山内薫
赤い鳥03.06p42-47童話『禿のワリイ』小山内薫
鈴木三重吉童話全集02.20『正直ぢいさん』(インド)
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赤い鳥03.05p26-35童話『摩以亜物語』鈴木三重吉
赤い鳥03.06p28-35童話『摩以亜物語』鈴木三重吉
赤い鳥04.02p30-37童話『小さな摩以亜』鈴木三重吉
鈴木三重吉童話全集02.40『マイアの冒険』(デンマーク、アンデルセン作)
アンデルセン童話集『マイアの冒険』 外部リンク
鈴木三重吉 訳   清水良雄 絵   アルス  昭和2(1927)

注:この話はアンデルセンの「Thumbelina」の翻訳ではなく、アンドルー・ラングの「THE STRANGE ADVENTURES OF LITTLE MAIA」の翻訳である。

出典:THE STRANGE ADVENTURES OF LITTLE MAIA 外部リンク
THE OLIVE FAIRY BOOK EDITED BY ANDREW LANG

注:アンドルー・ラングの「The Yellow Fairy Book」には、「Thumbelina」(親指姫)も入っている。

類話:THUMBELINA  外部リンク
The Yellow Fairy Book Edited By Andrew Lang

注:これまで、三重吉の翻案と考えられていた多くの部分は、ラングの「THE STRANGE ADVENTURES OF LITTLE MAIA」の翻訳であったことになる。
(鈴木三重吉のアンデルセン童話についての詳細は、電子書籍にする予定です)

第41回 「おやゆびひめ」の旅 -明治から昭和- 東京都立図書館  外部リンク
3. 摩以亜物語(まいあものがたり)外部リンク
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赤い鳥03.05p38-41童話『三人の泥棒』水島爾保布

注:この話は、2つのモチーフから構成されている。
 
前半のモチーフ
K341.15. 泥棒の一人が持ち主の注意をそらしている間に、もう一人が盗む。

後半のモチーフ
Type763 [K1685]. 宝捜したちは、互に殺しあう。二人の宝探しは、一つの宝に魅入られ、一方は、もう一方ののワインに毒を入れる。しかし、もう一方に彼は殺される。そして殺した男もワインを飲んで死ぬ。 

注:両者が組み合わされた話があるのかもしれない。出典は不明
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赤い鳥03.05p50-53童話『慾の皮』樋口やす子
鈴木三重吉童話全集02.37『慾の皮』(インド)

新選実演お話資料集成『慾の皮』 外部リンク
内外教育資料調査会 編 南光社 昭11

Type1920F 「それは嘘だ」と言ったならば、罰金を支払わなければならない。
Type921E 以前に一度も聞いたことがない。

理屈物語1.5『見もせず聞もせぬ事』外部リンク
径山子 [撰]  松会, 天和2[1682] 苗村丈伯 外部リンク

 五 見もせす聞もせぬ事
むかし高林親友といふものゝ所に。つね/\出入をする隼人
之介といふもの有。いまたとしわかしといへ共才智人にすぐ
れて。いかやうのむつかしき事也とてもあんじわきまへすと
いふ事なしある時親友此者かちゑをためさんかために。
はやとの介を召てとふていはく世の中に見もせす聞もせぬ
ものハいかんといふ。はやとの介こたへていはく。いかさまにも此御
へんしハ明日こそ申侍らんとてまかりしりそけける。さて
明日(あくるひ)にも成しかハ。あんのことくはやとの介来りまミへける。人々
是をきかんとてさしつとひ。耳をすましてまちけるに。
其時親友きのふのふしんハいかゝととひ玉へハはやとの介
こたへていはく。さきほとさる所より此文を着へとゝけて玉ハれ
と申ほとに。さてさしあげ申とてふところよりちいさき文一
通とり出しわたしける。親友是をひらき見玉ふに。いぜんあづ
け置たる金五十両を御かへし候へと有。親友大におとろき
不審の事もよそになり。左右の者にとふていはく。なんぢ
らハ此金の事をしるやといふに。左右の者ミな/\口をそろ
へて。かやうの金の事ハ聞たる事も見たる事もなしといふ
其時はやとの介さてハ見たる事もなく聞たる事もなき
不審ハ。ひらき侍るといふに人々大にかんしける

伊曽保物語03.05『かくしやふしんの事』 外部リンク  国会図書館
・・・・・・・・・・・・・ある時御門をはし
め奉り月けいうんかくそてをつらね殿上になみ
ゐ給ふ中におゐて御門仰けるはあめつちひらけ
はしめてよりこのかたみもせすきゝもせぬものい
かんとのたまへはいそほ申けるはいかさまにも
明日こそ御返事申へけれとて御前をまかりたつ
さて其日にのそんていそほ参内申けれは人々これを
きかんとてさしつとひ給へりそのときいそほふと
ころより小文ひとつとりいたし今日こそわかくに
へまかりかへるとて奉りけれは御門ひらひてゑい
らんあるにそれりくうるすといふけれしやの帝
王より三十万くわんをかり候所実正めい白なりと
ありけれはみかと大きにおとろかせ給ひわれ此事
をしらす汝はしるやと仰けれはをの/\口をそろへ
て見た事もきゝ奉ることもなしといひけれはそ
の時いそほいひけるはさてはきのふの御ふしんは
ひらけて候といひけれは人々けにもとそ云ける

エソポのハブラス0.23
『まだ見聞かぬ物についての不審のこと』 外部リンク
また 一同に 各々 掛くる 不審には、「天
地、はじまってから この方、まだ 見聞かぬ 物は
何ぞ?」 エソポが 申すは、「某 只今 家に
帰らうず、その 暇(いとま)を 下されい」と 申し、家に 帰
り、エソポ 一紙(いっし)を 調えて 帝王へ 奉
った、その ことわりは リケロ 帝王から 借らせ
られた 三十万貫の 借状で あった、帝王 これ
を 御覧ぜられて 大きに 驚かせらるゝ 体で、諸
臣下に 「汝らは この儀を 見 聞いた ことが あるか」
と 問わせらるれば、各々 「かつてもって 見 聞か
ぬ ことで ござる」と、申せば。その時 エソポ 「し
からば 只今の 御不審は それをもって 開けて
ござる」と 申して、エソポは 暇を 乞うて 罷り
帰れば、その身にも あまたの 宝を 下され、
バビロニャへも 宝の 車を 贈り 下され
た。

エソポの ハブラス 翻刻と類話 外部リンク
ネクテナポ  帝王  エソポに御不審の条々
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赤い鳥03.03p11-15『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.04p24-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.05p54-59『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.02p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.03p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
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赤い鳥03.05p72-73通信・地方童話その三03『海女の髪』薗道郎
(三)海女の髪 今から千二百年も昔、文武天皇さまの御代に、紀伊国日高郡吉田の海ばたに、常々仏信心の深い、心根のやさしい或海女(あま)がをりました。この海女は不仕合なことに女には一ばん誇りの髪の毛が、非常に短くて其上色が真赤だものですから、いつも人の前へ出るのにそれは/\恥かしくてたまりませんでした。海女はいつも、それを苦にやんで、どうかこの髪が長くそして黒くなりますやうにと、しじゆう佛さまにお祈りをしてをりました。
 すると或日のこと、その海女が岩の上に立つて海を見てをりますと、ぢき目の下の波の底に、何だか強くびか/\と光つてゐるものがありました。海女はそれを見て、これはきつと真珠か何かの玉に相違ない。しかも、その深さでこれほどびか/\光る位だから、きつと大きな玉にちがひないと思ひまして、いきなり身を躍らせて、人魚のやうにもぐり込みました。そして間もなくその光るものを掴んで浮き上つて来ました。さうしますと今まで玉だとばかり思つてゐたのは黄金で刻んだ一寸八分の観音さまの像でした。海女はびつくりして、「これはきつと、仏さまが私の信心を憫んで授けて下さつたのに相違ない」と言つて大喜びに喜んで、早速家へ帰つて、小さなお堂をこしらへて、毎日朝晩だいじに拝んでをりました。さうすると間もなくその仏さまのお蔭で、今まであれほで見苦しかつた赤い短い髪の毛が、急にずん/\長く黒くなつて、一と月ばかり後には、立つと地につくほどの、長い/\そしてつや/\した真黒な髪になりました。村の人たちは驚いて、みんなでその海女の仕合を羨みました。
 そのうちに海女が或日その髪を梳いてゐるときに、その長い/\髪の毛が一本ぬけておちたのを、一羽の雀がひろつて「これはいゝものを見つけた。」と言ひながら、それをくはへて都まで一と息に飛んで行きました。そしてお内裏のお屋根へ下りて、そこへ巣をつくりました。その明る日、天子さまは、何のお心もなくお庭を眺めてお出になりますと屋根の庇から、世にも稀らしい長い/\女の髪の毛が下つてゐるのがお目に留りました。天子様は「こんなよい髪を持つてゐる女は、たしかにこの日本に二人とはあるまい。すぐにたづね出してまゐれ」とお言ひつけになりました。そこで大勢の役人がそれ/"\手分けをして日本中の国々へ探しに出かけました。そしてその中の一人が、紀伊の国へ来てさつきの海女を見つけ出して、都へつれて帰りました。併しそのまゝでは身分がないので、一旦藤原不比等(ふひと)といふ大臣の養女にして橘姫といふ名前を名乗らせた上、改めて、天子さまのお妃に上げました。
 併し海女は人から見れば一足とびにそんな幸福な身の上になつたのに、どういふわけか一寸も嬉しさうな顔色も見せないで、しじゆう、何か物案じをして一人で嘆き沈んでをりました。天子さまは不思議にお思ひになつて或日そのわけをお尋ねになりますと、海女の橘姫は、例の観音様のお話をして、「私がこのやうな結構な身分に引き立てゝいたゞきましたのは、みんなあの観音様のおかげでございます。その勿体ない観音様が、私がゐませんではだれ一人だいじにお仕へ申すものもなくて、今では風雨にも打たれて入らつしやりはしないかと思ひますと、怖れ多くて心配でたまりません」と申し上げました。
 天子さまはそれを聞きますと、すぐに、紀道成(きのみちなり)といふ大臣に、急いで紀伊国へ下つて、観音様のためにお寺を建てるやうにお言付けになりました。それで道成は早速沢山の人夫を使つて、一生懸命に指図をして、お堂を建てゝゐるうちに或日、日高川といふ川上から、その建築に使ふ材木の筏に乗つて下る途中、誤つて川の中に落ちて死んでしまひました。併しお寺はやがて立派に出来上がりました。
 天子さまは道成のことを大さう憫れにおぼしめして、その寺に道成の名をそのまゝに道成寺(だうじやうじ)といふ名前をおつけになつて、永久に亡きあとを弔つておやりになりました。
 蛇になつた清姫の話で名高い道成寺のかうしたいはれは、人が余り知りません。吉田の村は、今は青田の村になつてをりますが、昔はそこいらまで一面に海だつたのでございませう。(和歌山日高御坊町二七三、薗道郎報) 
 
注:「地方童話その三」は3巻4号の「地方伝説その二」からの続きです。当時は、伝説や昔話や民話を何と呼称するか模索していたのかもしれません。

類話:
天の浮橋 伝説 宮子姫髪長譚 外部リンク
道成寺 かみなが姫の物語  外部リンク

参考:
髪長媛 外部リンク
桃太郎の誕生 柳田国男 三省堂 昭和8

モチーフ
・髪の探究
Type465B* 黄金の髪の探求。
Type516B 誘拐されたお姫さま(浮遊する髪を見て恋する)
トリスタン・イズー物語03『黄金の髪の美女をもとめて』

・絵を見て恋に落ちる
T11.2. 絵を見て恋に落ちる
日本昔話通観217B『絵姿女房--物売り型』
古典落語『宇治の柴舟』
中国民話集05『羽根の衣を着た男』
ギリシア神話『ピグマリオン』
グリム金田006『忠臣ヨハネス』6
グリム金田152『白い嫁ごと黒いよめご』135
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赤い鳥03.05p73通信・地方童話その三04『天狗の山』無名氏
(四)天狗の山 むかし/\、上野の榛名山の奥に大きな悪い天狗が住んでをりました。この天狗はよく村へ下りて色んな悪いことをして行きました。或時天の神様たちが集つて、日本へ富士の山をこしらへる相談をなさいました。それを榛名の悪い天狗が聞き込みまして「おれだつて一と晩のうちに富士の山を作つて見せる、一つどつちが立派なものをこしらへるか競争をしよう」と申込みました。神さまたちは馬鹿な天狗奴か(ママ)何を言ふかと仰つて、内々お笑ひになりながら「それでは作つて見るがよい、併し一と晩のうちに作り上げなかつたら、お前はもう日本の土地には置かないぞ」と仰いました。天狗は負けぬ気になつて「よろしい、その代りおれの方が先に出来上つたらお前の山は潰してしまふぞ」と言ひ放つて帰つて来ましだ(ママ)。
 それから約束の晩が来ますと、天狗は一生懸命に畚(もつこ)で土を運んで、どん/\山を築き上げて行きました。そしてともかくも富士のやうな形に盛り上げて、あともう一と畚で完全な山が出来上らうといふときに、運悪く丁度夜があけてしまひました。天狗は歯がみをして悔しがりましたが、もうどうすることも出来ないので、土を入れたまゝの畚を山の腰のところへ落したまゝ、どん/\逃げて行つてしまひました。こちらでは神さまは其晩のうちにちやんと美事に富士の山をおこしらへになりました。あとで天狗のこしらへた山へ行つて御覧になりますと、その山は天狗が住む山には谷が千谷なければいけないのですが、その天狗のこしらへた榛名富士山には九百九十九谷しかありませんでした。それだものですから天狗はいつも、あのときの一と谷は、おれの羽根の下にかくれてゐるのだと言つてごまかしてゐたさうです。
 この榛名富士は伊香保の温泉から一里ばかり山を上つて、榛名の火口原を真つ直に行くと、右手にによつきり聳えてゐます。そこのところをもう少し行くと、火口原湖の榛名湖に着きます。その湖畔に立つて、正面に突き出てゐる榛名富士を見ますと、たゞ今のお話のやうに頂上の片方が少し低くなつてゐます。これが一と畚足りなかつたあとです。その下には、天狗が最後の畚を落して行つた一畚山(ひともつこやま)へ、ひた/\と漣が寄せてゐるのが見えます。榛名富士は、復式火山の最もよい典型だと言はれてゐます。(群馬、無名氏報)
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赤い鳥03.05p73-74通信・地方童話その三05『睡蓮』原大蔵
(五)睡蓮 私の村から一里ばかり離れた、或大きな森の中に、古い池が一つございます。昔此森の近くにお蓮(れん)といふ唖の女の子がをりました。お蓮は兄弟もなくだれも遊んでくれる友だちもないので、毎日たゞ一人で森の中へ這入つて、さびしく遊んでをりました。このお蓮が八つのとき、夏の或日、やはり一人でその森の中へ来て、草の花をつみながらだん/\と奥の方へ這入つて行きますと、しまひに見馴れぬ池のふちへ出て来ました。見ると其池の真ん中には、青い水の上にくれいな水草の花が一本さいてをりました。お蓮はその花がほしくてたまらなくなつて今まで摘みためてゐた草の花を打つちやつて、ざぶざぶと其池の中へ這入つて行きました。すると一足/\底が深くなつて、膝の上から腰までつかり、とう/\胸から肩まで来たので、お蓮はびつくりして、助けを呼ばうとしましたが、唖ですから声が出ません。そのうちにとう/\ぷく/\と水の底へ沈んでしまひました。お蓮の母親はお蓮が急にゐなくなつたので、大さわぎをして毎日/\そこら中を無益にさがして廻りました。それから十日ばから立つて、(ママ)丁度雨のふる中を、母親は一生けんめいにお蓮を探して、その池の側まで来ました。さうすると池の真ん中に水草の花が一つ咲いてゐて、その側にお蓮のはいてゐた、小さな下駄が浮かんでをりました。母親は、それではじめてわけをさとつて、あまりの悲しさに思はず、池の岸に伏しころんで泣き入りました。しばらくして、やう/\顔を上げて、もう一度浮いている下駄を見ようとしますと、今まで、たつた一つ咲いてゐた水草の花が、いつの間にか、地中一面に乱れてさいてをりました。母親は、それはお蓮の魂が花になつたのだと思ひました。そして「お蓮よ/\」と言つて泣き狂ひました。
 それから毎年夏になりますと、その池にきれいな水草の花が、一ぱい乱れさきました。村中の人もそれをお蓮の魂だと信じて、その花に睡蓮(すゐれん)といふ名をつけました。
 私は小さなときにかういふ話を母から聞きました。去年の夏そのことを思ひ出して、わざ/\その古池へ行つて見ましたが、池の中には睡蓮らしいものは一つもなく、たゞ普通の蓮がぽつ/\とさびしく咲いてをりました。(神奈川県橘樹郡高津村、原大蔵 報)

2022年4月18日月曜日

赤い鳥第3巻第4号

赤い鳥03.04 大正8年(1919)10月
目次


赤い鳥03.04 大正8年(1919)10月

赤い鳥03.04 大正8年(1919)10月
  「赤い鳥」十月号(第三巻第四号)
 狩猟(表紙、石版刷) 清水良雄
 船出(口絵、水彩画) 清水良雄
犬のお芝居(曲譜) 成田為三
 井戸掘り(推奨曲譜) (2-3) 北原白秋
むかでの室、蛇の室(歴史童話) (4-11) 鈴木三重吉
お月様の唄(童話) (12-17) 豊島与志雄
笛(童話) (18-21) 小島政二郎
葱坊主(童謡) (22-23) 西條八十
指輪の王子(童話) (24-29) 久保田万太郎

 燕(入選創作童謡) (30-33) 北原白秋選
 名加邑碧宇 阪本牙城
 杉浦冷石 齋藤秀堯
 伊谷しう人 井上福実
 塘きよし 落合林太郎
 宮下紅柄 青柳花明
 飯田草央 真壁勝治
 青山華恵 田中白蝶
 四方田稔 村上五郎
 森屋順 近藤九葉
 井上呉水 白井吉之助
 清谷あけし 大西琴翠
 萩野管一 深山雪夫
 
 銀の小函(少年少女入選童話) (34-35) 鈴木誉志子
 忘れた蓑(推奨創作童謡) (36) 麻部瑛
 毛帽子(推奨創作童謡) (37) 堀井増次郎
大きな星(少年少女劇) (38-43) 鈴木三重吉
銀の鰐(童話) (44-47) 細田源吉
お菓子の家(童謡) (48-49) 西條八十
禿のワリー(童話) (50-55) 小山内薫  注:禿のワリー(ワリイ)の誤り
泥棒(童話) (56-61) 久米正雄
兎の電報(童謡) (62-63) 北原白秋
団栗(童謡) 北原白秋

 雲(入選綴方) (64-71)[6-471 と誤記] 鈴木三重吉選
 永井繁 岡澤留雄
 藤本ゆき子 松田良隆
 柏木七羊 八木たかよ
 青木浅吉 小田生一
 碧川芳子 釜瀬虎雄
 中村康之助
 
 蛙(入選自作童謡) (66-69) 北原白秋選
 高橋永久 結城平八郎
 原田勝 川手丁三
 長田重治 於保捷雄
 長川三郎
 
 通信、少年少女、地方伝説、地方童謡、社告 (72-80)
さし絵、飾り絵 清水良雄 鈴木淳
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それぞれの話の出典・同話・類話・参照
 
凡例:
[出典]:出典元と思われる話。
[同話]:同じ話ではあるが、出典元かどうかはわからない。
[類話]:プロットやモチーフが似ている話。民話の場合、各国に類似する話が多数ある。
[参照]:モチーフの一部やプロットの一部、題名が似ているなど。
 
「鈴木三重吉童話全集」の付言にはそれぞれの話の国名が書かれている。それを( )内に表記した。しかし実際の国名と合わないこともある。
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赤い鳥03.04p18-21童話『笛』小島政二郎
 
出典:古今著聞集 巻第十二 偸盜 第十九 429・430
 429 博雅三位の家に盗人入りたる事
 430 篳篥師用光南海道に発向の時海賊にあひたる事

古今著聞集 外部リンク
橘成季 著[他] 有朋堂書店 大正11

参照:赤い鳥13.03『篳篥師用光』室生犀星
篳篥師用光  外部リンク
翡翠 室生犀星 寳文館 大正14

備考:赤い鳥03.03p42-47童話『京都だより』小島政二郎
出典: 古今著聞集巻第七 術道  第九 295・296・297  
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赤い鳥03.03p11-15『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.04p24-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥03.05p54-59『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.02p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎
赤い鳥04.03p26-29『指輪の王子』(童話)久保田万太郎 
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赤い鳥03.04p44-47『銀の鰐』(童話)細田源吉
 
参照:Pan4『猿の心臓をとりそこなった鰐』
パンチャタントラ 獲得物損失の巻  外部リンク
世界童話大系. 第10巻(印度篇) 大正14
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赤い鳥03.04p50-55『禿のワリイ』(童話)小山内薫
赤い鳥03.05p18-23『禿のワリイ』(童話)小山内薫
赤い鳥03.06p42-47『禿のワリイ』(童話)小山内薫
鈴木三重吉童話全集02.20『正直ぢいさん』(インド)

出典:STORY OF WALI DÂD THE SIMPLE-HEARTED  外部リンク
[Told the author by an Indian.]
The Brown Fairy Book Edited by Andrew Lang

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赤い鳥03.04p56-61『泥棒』(童話)久米正雄 

注:この話はこれまで、久米正雄の創作と考えられていたようだが、アンドルー・ラングからの翻訳である。また、この類話は世界中に数多くあり、日本には戦国時代にキリスト教の宣教師によりもたらされ、17世紀の初めに出版された、古活字版の「伊曽保物語(イソップ物語)」にこの類話が含まれている。

出典:DIAMOND CUT DIAMOND 外部リンク
THE OLIVE FAIRY BOOK EDITED BY ANDREW LANG

注:The Olive Fairy Book の11番目が「The Strange Adventures of Little Maia(マイアの冒険)」で、12番目が「DIAMOND CUT DIAMOND」であるので、鈴木三重吉が久米の翻訳に関与している可能性が考えられる。

Type 1617 [K1667] より多くを期待させられた不正な銀行家は、預かり金を返すように騙される。

類話:
伊曽保物語1.15『長者と他国の商人の事』 外部リンク

ラ・フォンテーヌ寓話10.04金を埋めた男と手伝った男[後半]
・・・・
男は相棒に手伝ってもらって、宝を埋めに行く。
 しばらくして、男は自分の金を見に行くが、置いた場所に金がない。男は、相棒を疑い、相棒の許へ行って言う。「支度をしてくれ。私にはまだ金が残ってる。それも一緒にしておきたい。」
 相棒はすぐに盗んだ金を元の所へ置きに行く。全部一緒に盗んでやろうと考えたのだ。しかし今度は、相手が一枚上手だった。男は全て自分の家に置くことにして、埋めたりしまいと決心した。そして相棒は、預けたつもりの物が見つからず、高い所から落ちた思いだった。騙す奴を騙すのは難しいことではないのだ。

参照:
日本昔話通観644『だましあい』
①ばくち打ちが松つかさをふくさに包み、世に二つとない宝物だ、と和尚をいつわって大金を借り、いつまでも返済にこない。
②だまされたと気づいた和尚は、小僧の進言で、小僧を連れて托鉢に出かけ、宝物をこわした、取りにきたらどうしよう、と掛けあい歌で歩く。
③それを聞いたばくち打ちは、大金を持参して受けとりにき、和尚に松かさを返され金を取りもどされる。

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赤い鳥03.04p74-75通信・地方伝説その二02『今坂餅』伊藤六郎兵衛
(二)今坂餅 多摩川付近の村の秋祭へ行くと必ず今坂餅と言つて、紅で字のやうなものゝ書いてある細長い大福餅の店が出てゐます。子供たちにはこの今坂を買ふのがお祭りの一番の楽しみです。この餅についてはかういふ謂れがあります。
 昔或百姓家でお祝ひの餅をついてをりますと、そのベツタンコ/\といふ杵の音を近所の森の猿が聞きつけて、ほしくて/\堪らないものですから、沢の蟹と相談して二人で盗みに行きました。猿はまづ蟹をその家の縁側の下に忍ばせておいて自分は大きな石をかゝへて来て、それを裏の井戸の中へドブンと投げ込んで遁げました。すると中の人は誰か井戸へ落ちたのだと思つて、餅も杵もはふりつ放しで井戸端へかけつけると、並べてある餅を一つ盗んで遁げ出しました。そして側の坂の上まで来ますと、猿がそこに待つてをりました。猿はその餅を一人でみんな取らうと企んで、
「おい、蟹さん/\、その餅をこの坂の上からころがし落して、一人でどつちが早く下で拾ふか拾ひツこしようぢやないか」と言ひました。蟹は、
「それは面白い」と言つてすぐにその餅をころ/\と転がし落しました、猿は早速一目散にかけ下りて、坂の下で待受けてをりますと、生憎餅は途中の木の根に引ツかゝつていつまでたつても落ちて来ませんでした。蟹は後からかさこそと走つて下りました。併し蟹が餅のところまで行き著かないうちに、百姓が飛んで来て、その餅を取りかへして行きました。見ると餅は坂を転がつたので形が細長くなつてをりました。お祭りで売る大福餅はその餅をかたどつたもので、百姓がかけつけたときに、丁度坂の途中にかつかゝてゐたので、今坂餅と名づけたのだそうです。(神奈川県橘樹郡稲田村登戸 伊藤六郎兵衛報)

Type 1377 姦婦は夜遅く家に戻る。夫は彼女を入れるのを拒む。彼女は、井戸に身投げすると脅す。夫は彼女を追いかける。彼女は家に入り彼を外に締め出す。(井戸に石を投げ込み、身投げをしたと思わせる話がある)

Type 1* 狐は篭を盗む。ウサギは死んだ振りをする。少女がウサギを拾うために篭を置く。狐が篭を盗む。

Type 2025 逃げるパンケーキ。女は逃げるパンケーキを作る。色々な動物がそれを止めようとするが、無駄である。最後に狐がそれを食べる。

注:この話の登場人物は、猿・蟹・臼と猿蟹合戦を思わせる話ですが、内容は、上記のタイプの組み合わされた話です。もしかすると、創作かもしれません。
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赤い鳥03.04p76通信・伝説『蛇と蚯蚓』井東愛美 
 蛇と蚯蚓(伝説) 私の郷里の九州の田舎では、夏から秋へかけて、ちろゝ/\と啼く蚯蚓には、昔は、そんなきれいな声はなくて、その代りに、一対のきら/\光つた目があつたのですが、その時分、今のやうに大きな光つた目がなくて、ちろゝ/\といふいゝ声を持つてゐた蛇と二人で、お互ひに人のものを羨みつこをして、その声と目とを、取りかへつこをしたのだと言つてゐます。」(神田区錦町3-54菊水館、井東愛美)
 
注:「蚯蚓鳴く」は秋の季語になっていますが、ミミズが鳴くのか? というと、実際は鳴かないが、鳴いたと想像するのが俳句の趣である。とする説がある一方、「蚯蚓鳴く」は、オケラの鳴き声を勘違いしたのだ? とする説があるようです。この「蛇と蚯蚓」の伝説からすると、当時、蚯蚓は実際に鳴くと考えられていたことがわかります。

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赤い鳥03.04p78通信・伝説『鐘』麗豊浪 
  鐘(伝説) 諏訪七不思議の一つに、花岡観音の鐘のお話があります。諏訪湖の北の岸にある、その観音堂に、昔大きな釣鐘がありました。或時人が撞いて居ると、その鐘が不意に下へ落ちて、坂をころ/\転がつて湖水の中へ落ち込んでしまひました。そのとき一人の女がその鐘の中へまき込まれて一しょに沈みました。その鐘は、それなり、どんなに苦心しても湖水の中から上りません。折角引き上げたかと思ふと、もう少しで水の上へ出るといふときに、必ずまたどぶんと沈んでしまふさうです。これは、沈んだ女が龍になつて、中へ這入つてゐるのだらうといふ話です。(長野県諏訪郡四賀村神戸、麗豊浪)
 
注:花岡観音は、龍光山観音院 (岡谷市)の小坂観音の誤りのようです。
花岡村は小坂観音の隣の村で、大なまずの民話の地です。

 参考:赤い鳥(復刊)01.04『沈んだ鐘』吉田絃二郎

松尾芭蕉
月いづく鐘は沈める海の底
(敦賀の金ヶ崎の伝説)

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赤い鳥03.04p78通信・伝説『地獄』岡田元紀 
 地獄(伝説) 広島市の東寺町に海雲寺といふ禅寺があります。その寺の境内には、何とも名の知れない、奇妙な木が一本植わつてをります。維新前のこと浅野家の家来で、中年に出家して、この寺にゐた侍が、しじゆう地獄極楽の有る無しを疑つて、よく仲間の坊さんたちと儀論(ママ)をしたりして煩悶してゐましたが、その僧侶が死ぬるときに、もし、地獄があつたら、その印に、変な木を一本境内に生えさせるからと言ひ置いて瞑目しました。それから五六日たつと、今言つた木が、ひとり手に生えたのだと言ひ伝へてをります。(広島市大手町八丁目八十五、岡田元起)